洋楽なコーラスの作り方

海外のR&Bやソウル、ハウスなどでは、 日本で言う「サビ」部分に重厚なコーラスを用います。
あれってどうやるの?
という方のために、 たぶん誰も教えてくれないことをお教えしましょう。
基本的にコーラスパートは左右(LR)に振ります
・ユニゾン 左右
(メインの歌メロと同じ音程)
・3度下 左右
・3度上 左右
を重ねます(計6本)
になるわけです。
注意点としてはセンターのメインボーカルに位置的に当てないということです。センターのメインと重なってしまうとダブリングといって違う手法になってしまいますので、あくまでもコーラスパートとしてメインボーカルの邪魔をしないように左右に鎮座させるのです。
邦楽のR&Bあたりならこれで十分かもしれません。
4度下、4度上のハモリでもいいんです。
でもまだまだこんなもんじゃ、甘いです。
日本でも洋楽感を売りにしているアーティストなどは、これを80本ぐらい重ねまくります。海外のアーティストなども同様です。
ひたすら重ねます。ただただ重ねていきます。
コツとしては、メインボーカルよりも優しく柔らかく、ウィスパーまでいきませんが、吐息感やエア感のような高周波を出すようなイメージで重ねていくことです。
力強く歌ってはいけません。力強く歌ってしまうと歌の輪郭がハッキリしてしまって重ねた時に歌のシンクロのアラが目立ったり、音割れをしてしまう、聴こえ方が綺麗じゃない等の現象が出てきます。歌の輪郭がぼやけていた方が重ねたときの美しさが違うからです。
そして、ひたすら重ね続けるとどうなるのかと言うと
分厚い壁が出来て、シュワーっと、ゾクゾクするような コーラスが出来上がります。
海外のR&Bなどでよく聴かれるアレです。
吐息感にはたくさんの倍音が含まれていますので、「倍音の壁が作られる」そんなイメージですね。
歌のパワー感が弱いシンガーさんなどには 特にオススメです。
絶対にカッコよく、分厚く仕上がります。
従来、日本の音楽シーンでは、歌の多重録音は 歌の弱さを隠すための消極的なアプローチとしてしか 認知されていませんでした。
しかしこの数年でその常識も変わりました。
多くの邦楽アーティストにそのコーラスワークを見ることが出来ます。
レコーディングの方法論でも アメリカナイズが進んだんですね。
このオーバーダブ(多重録音)を究極的に進めると…
エンヤになります。

皆さん一度は聴いたことあるんじゃないでしょうか。
特にクリスマスや年末。
あの分厚い聖歌隊のような芸術的なコーラスワークを。
あれ、実は120本重なっている歌なんです。
つまり同じ所を120回歌うわけです(笑)
オーバーダブは芸術です。
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